残念系お嬢様の日常
『景くんはさ、一時期本当に心を閉ざして学校に行けなくなっちゃったんだ』
「それ、原作で少しだけ触れていたわよね」
『ああ、そういえばそうだね。その頃の拓人は……確か小学三年くらいかな。明るくて人が周りに集まるような子どもだったんだ』
桐生が今とは違う子どもだったことは漫画の知識で少し知っていたけど、実際信じがたい。
だって、あの仏頂面が明るくて人気者って。
『景人くんがそういうことになってショックを受けた母親を必死に励まそうとした拓人に「どうしてお兄ちゃんがこんなときに笑えるの? 貴方の笑った顔なんてみたくない」って母親が言ったんだよ』
それは私が知る限り、原作では触れていなかった話だ。
桐生の性格は原作とほぼぶれていないし、真莉亜の事件の後か本編が終わった後にでもやっていた可能性もあるけど。
『そのとき、俺と悠が景くんの様子見に桐生家にお邪魔しててさ、偶然聞いちゃったんだよね。で、それから拓人は笑わなくなって、景くんの代わりになれって両親に言われて頑張ってきたんだよ』