残念系お嬢様の日常


床に正座をさせられてお母様に見下ろされている。

なにこのデジャビュ。この失敗によって遊びに行ける可能性はなくなってしまった。


「う、うぅ……ごめんなさい」

「真莉亜さん、あなたには驚かされてばかりです」

「お、お母様……」

「家を抜け出して遊びに行こうだなんて、淑女がすることではありませんよ。しかも、警備会社まで駆けつける騒ぎを起こすだなんて」

向けられる視線が冷たい。完全に呆れられているようだった。

お母様の隣にいる蒼も頭を抱えていて、そんな私たちを遠巻きに眺めている使用人達が「さすが真莉亜様だわ」って話しているのが聞こえてきたけど、さすがってどういうこと!?


最近使用人たちも私に遠慮がなくなってきて、つまみ食いとかすると「こら!」とか叱られるし、ダンベル持って鍛えていると取り上げられるようになってしまった。

昔よりかは距離が縮まった気がして嬉しいけど、切実にダンベル返してほしい。





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