残念系お嬢様の日常
「それは伯母様個人の常識であって私の常識ではありませんわ」
「随分と生意気な口をきくようになったのねぇ」
思い返せば、過去の私は伯母様の生き写しのような歪んだ価値観を持っていた。
漫画の中の真莉亜は特待生である浅海さんを見下して、自分の価値は家柄で決まると思っていたのだ。
「私、伯母様のような人間にはなりたくありませんの」
もう言ってしまおうか。この際言ってしまったほうがすっきりする。
一瞬、久世と目があった。
彼はすぐに視線を落としてしまって、なにを思ったのかはわからない。
私たちの間に恋愛なんて存在しないのだから、婚約を破棄できれば彼はやっと解放されると安堵するかもしれない。
「あの余所者を雲類鷲家に入れてあげた恩を忘れたの!」
その言葉に、心が軋んだ。