残念系お嬢様の日常
「……そう、まあ貴方であれば文句はないわ」
そして、何故伯母様は納得した様子なの。
なにか大きな誤解をしていないかしら。
「雲類鷲さん、大丈夫?」
後ろから声が聞こえてきて振り返ると、天花寺が心配そうに顔を覗き込んでくる。
私の肩を掴んで後ろへ引かせたのは彼のようだ。
「怪我はない?」
「ええ、ありがとうございます」
「よかった」
安堵した様子の天花寺は、ふわりと優しげな微笑みを浮かべてから、少し照れくさそうに私の肩から手を離した。
「ごめん、強く引いてしまって……」
「え?」
特に痛くはなかったので平気だけれど、助けてくれたのに申し訳なさそうにされてしまった。
首を横に振って微笑みかけると、天花寺は目を丸くした。
そして、すぐに視線がそらされてしまい、耳まで真っ赤だ。
……そんなに照れられると、こっちまで恥ずかしくなってしまう。というかどうして、照れたのかしら。