残念系お嬢様の日常



瞳が雨宮の隣に並び、廊下を歩いていく。


お似合いなふたりの姿をぼんやりと眺めながら、胸のあたりになにかがつっかえている感覚に陥る。


表ではあまり一緒にはいなかったけれど、雨宮の隣にいたのは私だった。


裏で手伝ってくれていた協力者。

たったそれだけだけど、彼の隣は居心地がよかったのかもしれない。



ああ……嫌だな。

見たくない。

きっとふたりでもう会うことはないだろうし、会話を交わすこともほとんどなくなる。


制服のポケットから携帯電話を取り出して、連絡先のリストを開く。

誰かに見られてもあやしまれないように嘘の名前で登録した雨宮の連絡先は<瞳>と表示されている。


きっともうかかってくることはない。

私からかけることもないだろうし、瞳がふたり登録されていて紛らわしいので消してしまったほうがいいのかもしれない。


そう思うのに削除がなかなか押せなかった。


誰かの連絡先なんて消したことがないから躊躇っているのかもしれない。


理由なんてそれだけだ。そうじゃないといけない。




俯く私の足元にゆらりと影が落ちた。





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