残念系お嬢様の日常


今年の優秀な生徒たちの名前が呼び上げられ、一年代表では瞳と浅海さんが壇上へ。

二年の一人はダリアの君のようだ。

真っ白なマーメイドドレス姿のダリアの君は相変わらずの美しさで、ため息が漏れてしまう。


表彰された生徒たちには、ティアラが渡される。

女子は自分自身につけて、男子ならダンスパートナーにつけるらしい。

このティアラを身につけた人は幸せになれるなんて学生たちの間では言われていて、女子たち憧れのものなんだとか。


表彰式と理事長である伯父の挨拶が終わり、いよいよダンスパーティーが始まる。私は相手がいないので、壁の花と化すしかないわね。

どうせダンスは得意ではないし、いいけどね。みんなが踊っている間に美味しいご飯食べてやるわ!



「スミレ」

戻ってきた瞳は迷うことなくティアラをスミレにつけた。スミレは驚いた様子で目を見開く。


「これ瞳がもらったのに……」

「スミレが一番似合うから。可愛いよ」

「瞳……ありがとう」

中等部からのスミレと瞳ファンにはたまらないやりとりらしく、この光景を見ていた女子たちが興奮気味に歓声を上げている。


確かにティアラはスミレによく似合っていて、童話の中のお姫様のようだった。





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