常盤の娘
「いつまで睡蓮の花を眺めていれば、両親は満足するのかしら」
「この花、睡蓮か。蓮かと」

純花がこんどこそ憂鬱そうに呻けば、東条は見当違いなことを言う。純花は少し驚いた。

「花には興味ない?」
純花は橋の欄干をなぞっていた手をふわりと持ち上げ、池を示した。

「葉を見て。ほら、切れ込みがあるでしょう。あれは睡蓮」
「へえ。蓮の葉には切れ込みがない」
「そう」
「なるほど。相変わらず、常盤は花に詳しいのな」
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