常盤の娘
東条が元の席に腰を下ろすと、すぐに純花も隣の席に座った。大きめのタオルを羽織り、胸の前で合わせている。
少しの沈黙の後、純花は気まずそうに口を開いた。
「あ、あのさ、私が来たのまずかった?」
「は、」
何で?俺が純花を呼びつけたのに?純花を睨んだつもりはなかった。が、純花の、タオルを合わせる手に力が入った。
「……俺のことで、何か知ってんの?」
「……知ってる…かもしれない」
その〈かもしれない〉に純花の誠実さがあると知っていた。噂で聞いたの。純花はそう付け加えた。
じゃあ、答え合わせってことで。俺が嗤えば、純花が悲痛そうに眉を歪めた。
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