極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「申し訳ないのですが、1つずつ席をずれてもらえませんか? 彼女の隣、俺の席なので」
すると、挨拶を交わしたばかりの環が、自分のジョッキと箸、荷物を持って、隣にやってきた。
サラリーマン3人組は、のそのそと席をずれながら、相手がいたのかと酒のつまみになりそうだった万佑をちらりと見た。
(もしかして、助けてくれた? ……まさかね。挨拶しただけの私にそんな気を使うようなことは――)
「嫌ですね、ああいう酔っ払いは」
「あっ、はい。そ、そうですね……」
環はごく自然に隣に座り、ミミから豚の角煮を受け取った。
立ち上る湯気に息を吹きかけ、角煮を頬張った彼は、はふはふしながらご満悦の様子だ。
しかし、その端正な横顔に見惚れていると、視線を感じた彼が万佑に振り返った。
「……1人で飲みたかった?」
「いえ、そういうわけじゃないです」
見ず知らずのイケメンと肩を並べる心境でもないのだが、万佑はそれもビールと一緒に飲みこんだ。