極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「……私も、失恋です」
「そうなんだ。同類だね」
重苦しく口を開いて打ち明けたら、環は明るく受け流そうとしてくれているようだ。
失恋のすべてが同類ではないと思いつつも、なにがあったのかと突っ込んでこないあたり、気を使ってくれているのだと気づかされた。
それでも、今夜の万佑は天邪鬼だ。
「失恋してイブにぼっちかよって、笑っていいですから」
その方が、気が楽になると思った。笑って飲んだくれて、過去に葬りたいからだ。
環が来なくとも、今夜はミミに愚痴をこぼし、やさぐれながら酒を煽り、飲んだくれて今日を終えるはずだった。
だけど、こうなったら、知り合ったばかりのイケメンに愚痴ってしまおう。
二度と会うつもりのない彼になら、思う存分言いたい放題だ。……聞く方は面倒だろうけど。
「笑わないよ。精いっぱい恋をした人のことを、俺は笑ったりなんてできない」
だけど、真面目なトーンの声が返ってきて、万佑は顔を上げた。