極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「恋愛に向き不向きってあるんですかね?」
「さぁ? それが分かれば、俺も苦労しないんだけど」
それもそうだ。もしかしたら、自分だって不向き側の人間かもしれない。
不向きだから、浮気相手にされていることも気づかなかったのだとしたら、そうかもしれないとさえ思える。……大地の裏切りが許せるわけではないが。
「永縞さんは、なんで振られたんですか?」
「唐突に核心を突くね」
「あ……すみません。つい」
環が話しやすいせいで、思わず気になっていたことをずばりと聞いてしまった。
見ず知らずの彼は居心地がいい。初対面と分かっていても、彼が醸す人柄のせいだと思う。
「いいよ。振られ慣れてる分、こういう話題も日常的だし。俺は……合わなかったって言ったらいいかな」
「性格の不一致ですか? 価値観とか」
「んー、まぁ、たぶんそんなとこだと思うけど」
オブラートに包んで答えるあたり、思い当たる節があるのだろう。
さすがにそれ以上は踏み込めないと、万佑はハイボールを飲んで間を取った。