極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 入社した頃は、先輩の仕事ぶりを見よう見まねで頑張っていた。
 クライアントに叱られたこともあるし、思ったような結果に結びつかないこともあった。

 だけど、今となってはそれもすべて自分の糧になっている。あの時の自分がいなかったら、今は他の仕事に就いていたかもしれないし、日々を過ごす心持ちも変わっていたと思う。


「万佑先輩、最後に1つだけ教えてほしいんですけど、いいですか?」
「うん、なに?」

 入社時からずっとかわいがってきた後輩の女性社員に、会議終わりに話しかけられ、椅子に座って向かい合う。
 他のチームメンバーは、次々に自席に戻っていき、ふたりきりになった。


「先輩は、どうしてこの業界に入ろうと思ったんですか?」

 まるで就職活動の面接のような質問だけど、懐かしい。
 万佑はずっと忘れずに心に置いている6年前の想いを、後輩に打ち明けることにした。

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