極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 ――下旬になり、ようやく環と会う約束ができた。
 万佑は今日が楽しみで楽しみで、数日前からできる限りの準備をしてきたつもりだ。
 昨晩はパックもして肌の手入れは入念にしたし、今日のために買った新色のリップを塗り直し、仕事帰りに彼の職場がある虎ノ門の駅前で待つ。

 金曜の街は、活気あふれている。
 1週間の労いで同僚と飲みに出たり、万佑と同じようにデートに繰り出す社会人の姿が多く見受けられた。

 待ち合わせの時間は19時。
 そろそろ環がやってくると思うと、なんだかソワソワして落ち着かない。
 告白の返事をしてから約1ヶ月会っていないので、まるで初デートをする気分だ。

 目の前にやってくるスーツ姿に、彼ではないかと期待しては待ち、それを繰り返すこと数分。


「万佑ちゃん」

 少し離れたところから呼ぶ環の声を頼りに顔を向ければ、こちらに駆け寄ってくる彼の姿があった。

< 192 / 276 >

この作品をシェア

pagetop