極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 トレンチコートをなびかせながらやってきた彼は、明るい紺色のスーツがよく似合っている。
 白いYシャツは清潔感があり、淡い黄色のネクタイの小花柄が春らしい。


「すぐ近くに車を停めてあるから、少し歩くけどいい?」
「はい」
「今日は忙しかった?」
「ううん、いつも通りです。引き継ぎもほとんど済ませたし、来週からは異動先に行くことになりました。あっ、今日すごく嬉しいことがあったんです。あとで聞いてくれる?」
「もちろん。なんだろうな、楽しみだ」

 万佑は、仕事終わりに同僚からプレゼントをもらっただけでなく、かわいがっていた後輩と尊敬していた先輩からは手紙までもらってしまい、職場環境に恵まれていたことを心から感謝し、こうして環に会いに来たのだ。
 そんな素敵な職場で働いていたことを、どうしても彼に話したいと思った。

 2分ほど歩くと、ビルの狭間にある駐車場に着いた。
 環は助手席のドアを開けて万佑を乗せ、スムーズに車を出した。

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