極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「万佑ちゃん、1つお願いがある」

 まっすぐに見つめてくる彼の瞳に見入る。
 それが返事の代わりになって、環はもう少しだけ離れた。


「俺とのこと、春が終わるまで誰にも秘密にしてほしい」

 真剣に万佑のことを想うからこその決断だ。
 だけど、今はそれが彼女を傷つけてしまうかもしれないし、疑いの種になる可能性もある。
 それでも、これからのことを考えれば、方法はひとつだった。


「……どうして?」
「今は言えない。でも、いずれちゃんと話す」
「それは、つまり……そういう関係でいるべきだから?」
「今は、まだ言わない方がいいと思うんだ、お互いのために」

(お互いのためって、どういうこと? 人には言えない関係を望んでいるの?)

 万佑は瞳を大きく揺らし、受け入れがたい彼の願いに戸惑う。
 あんなに想いを伝え続けてくれたのに、誰にも言えないなんて普通じゃないと思うのだ。

 いずれ話すと言ってくれた、まだ見ぬ真実も、本当なら知らない方がいいことなのかもしれない。
 だけど、もう蓋の仕方すら忘れた恋心を閉じ込めておくこともできず、万佑は小さく頷くのが精いっぱいだ。

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