極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
――4月。新年度を迎え、万佑は正式にブルーメゾンの広報として、仕事に就くようになった。
異動前、同期の里子と食事に出た時、いいことがあったのではないかと気付かれたけれど、夏までは誰にも知られてはいけないと、環との約束を守って隠し通した。
会社のコンサルティングをしている環と関係は、社内でいい印象を持ってもらえるばかりではない。
ましてや、プロポーズをされているなんて、異動直後に口にするのは憚られる。
浮わついた話題で名前を覚えられるのではなく、仕事で成果を出していきたいのだ。
「清家さん、打ち合わせ始めるよー」
「あ、はい! すぐ行きます!」
グループの中で最も規模の大きいこの会社は、働いている人も環境も、すべてに活気がある。
直属の先輩社員に仕事を教わりつつ、カジュアルな雰囲気の社風は守られていて、居心地の良さは前職とあまり変わらないようだ。