極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 大筋のPR方法を決めたところで打ち合わせは終わり、次回はその内容についての企画を出しあうことになった。


「ところで、清家さんって恋人いるの?」

 自席に戻る間、一緒に歩いていた先輩社員に不意を突かれて戸惑う。


「ほら、ブルーメゾンって女性の方が多いし、社長を狙ってた子たちは、数年前に行き場を失っちゃったし」
「……確か、広報で働いていた方とご結婚をされたんですよね?」
「そうそう。だから、清家さんはどうなのかなって。社内恋愛に興味ある?」

(今は肯定も否定もしない方がいいんだろうな)

「仕事とプライベートは分けたいと思ってるので、社内恋愛はしないと思います。なので、相手は外に求めます」

 社内恋愛なんて敵を作るだけだ。
 仕事をするための場所で、無用な嫉妬や噂に振り回されたくもないし、その立場にもなりたくない。

(私は、環さんひと筋だけど……もしかしたら、彼もここに出入りしているから、知っている人もいるかもしれないなぁ)

 秘密の交際を約束した彼とのことは、公にできる時が来たとしても、しばらくは黙っておこうと思った。

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