極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「浮気されてるとは限らないよ? まだ、ちゃんと彼氏と話せてないんでしょ?」
「嘘をついてまでリスケされて、いざ当日は他の女。私に嘘つく必要があったのは、あの女が本命に決まってるじゃないですか! 永縞さんだったら、イブに誰と会います? 恋人がいたら恋人と過ごすでしょ?」
「……まぁ、そうだけど」
話を聞く限り、万佑が裏切られたのは確実だが、泣きもせずにただひたすら愚痴る彼女の気持ちが、少しでも治まればと、環は思う。
しかし、なにを言ったって、彼女の怒りが消えないのも、彼はわかっていた。
浮気されていると同意しても、しなくても、彼女の中で答えは決まっているのだ。女の愚痴や相談事には、そういう側面がある。
案の定、自分だったらどうなのかと聞かれ、彼女の〝彼氏浮気説&自分が浮気相手説〟を確固たるものにしただけだった。
うーんと唸りながら、ハイボールを飲む万佑の横顔は、失恋した割に悲しそうではない。
ただ、酒で火照った頬がピンク色でかわいいと、環は思った。