極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
――じめじめと続く梅雨から逃れるように、万佑は社食でランチを取りながら、隣のテーブルに座っている女性社員の楽しそうな話し声に耳を澄ませている。
「どうしてあんなに色っぽいんだろうね?」
「私なんて、さっきエレベーターで一緒になった時、チャンスだと思って話しかけたらすっごく優しくて……。もう好きすぎて死にそう」
この数日で、環の話でもちきりだ。
どうやら接した女性社員たちは、ことごとく彼の虜になっているらしい。
自分の考えを尊重してくれた懐の深さに感激したけれど、嫉妬の種ばかりが蒔かれている。
「永縞専務の彼女になりたいなぁ。でも、恋人いそうだよね」
「絶賛募集中かもしれないよ?」
「だったら、立候補するー!」
(なっ、なんてことなの……。環さんの恋人は私なのに!)
だけど、やっぱりまだ今のままがいい。
こんな状況で公表しようものなら、針のむしろだ。