極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「本当になんでもないんです」

 さすがに環の愛の言葉で、身悶えてしまったなんて言えるはずもない。


「それならいいけど、ちゃんと息抜きして働くようにしてね? 清家さん真面目だから、自分からあれこれ詰め込みすぎてないか心配なんだ。うちの会社は気楽に働けるのがいいところだからね、楽しくやってくれればそれでいいよ」
「はい。ありがとうございます! ……あの、つい今しがた、永縞専務からご連絡がありました。内線だったので、専務室にいらっしゃるかと思います」
「了解です。専務室に掛けてみるよ」

 ジャケットのポケットから出したミントタブレットをかじってから、部長は早速受話器を耳に当てた。

(こういうこともあるから避けてきたけど、でも……悪いことばかりじゃないかも)

 密かに話せたことが嬉しくて、社内恋愛の醍醐味にもう少し浸っていたくなる。
 万佑は、社内恋愛に対する見方を少し変えてみようと思った。

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