極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
――もう半年経ったのか、まだ半年なのか。
7月の朝、出社した万佑は自社ビルのエントランス前で、雲ひとつない晴天の空を見上げた。
環と出会ってから半年以上が経ち、交際を始めてからは5カ月ほど。もう半年と思う時もあれば、まだそれしか経っていないのかと感じることもある。
どれもが色濃く記憶に残っていて、彼と過ごすようになってからの毎日はとても充実していたように思う。
「おはよう」
「あっ、おはよう……ございます」
高層階行きのエレベーターを待っていると、環と居合わせた。
他の社員もいるので、当然これ以上の会話はできないけれど、平日の朝から彼と会えるだけで、1日のモチベーションが上がる。
(不思議だなぁ。幸せになったり不安になったり、胸の奥がいつも忙しいのに、すごく満たされてる)
環と出会ってからというもの、自然と笑顔になる機会も増えた。彼の存在で、心が強く前向きになれるのだ。