極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「俺も、万佑だけを愛してるよ。……でも、会社で朝からそんな甘えた声を聞かされると、ね?」
「ごめんなさっ……あっ」

 首筋を撫で上げる指先に操られ、どうにも声が漏れてしまった。


「先生って、呼ばないで」
「どうして? 俺にいろいろ教えてくれる約束、忘れた?」

 まるでデートの帰りに交わすキスのような距離を保って話す彼は、なんだか意地悪だ。

 髪に指を差し入れた環は、万佑の自由を奪って満足そうに微笑む。
 環にとっても初めての社内恋愛で、廊下を行く社員の声や足音がスリリングでたまらない。
 この時間に会議室を覗く社員がいないことは、この1カ月の勤務で分かっているけれど、万佑を困らせて見たくなったのだった。


「怒ってる?」

 万佑は不自由ながらも小さく頷く。
 だけど、この距離は、きっと……。

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