極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
キスを期待してしまう自分を戒めようと、万佑はちょっとだけ潤んだ瞳に彼を映して、また俯いた。
「かわいい瞳に、ちゃんと俺を映して」
顎先を操る彼に上を向かされた。
「ごめん。今日だけ許して? ……お願い」
「んっ」
奪われた唇が熱い。絡まる舌を伝って、彼の味が入ってくる。
万佑は、彼がどんな顔をしているのか知りたくて、薄らとまぶたを開けた。
(綺麗……)
会議室に響くキスの音が背徳的で、身体の奥が火照ってきた。初めて見てしまった彼がキスをする顔は、朝に似つかわしくない艶があって、押さえつけていた欲が煽られていく。
唇が離れれば、互いに余韻を味わうように見つめ合い、彼の大きな手が名残惜しそうに頬を包む。
「今夜、俺の家で待ってて」
もう一度、触れるだけの短いキスをした環は、万佑の手に自宅のカードキーを預けて、先に会議室を出ていった。