極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
それから数時間のうちに、対応が完了した。
部内はようやく落ち着きを取り戻し、遅めのランチに同僚と出れば、環の話でもちきりだった。
(環さんってすごいなぁ。どんな仕事でもこなしそう)
今朝はあんなに甘かったのに、仕事となると人が変わったようだった。
不測の事態なのだから当たり前だけど、迷いのない言動に頼もしさを感じたのだ。
その手腕が認められ、他社から専務として迎えられた彼に惚れ直してしまった。
――環の自宅で夕食を済ませた、宵の口。
ふたりは何度キスをしても足りないほど、約束の甘いひと時に酔いしれる。
環は、ハーフボトルのシャンパンを楽しみながら、彼女の艶やかな髪を指に絡めて遊んでいるところだ。
「万佑、俺の秘書になってよ」
「無理です。秘書検定持ってないし、そもそも向いてません」
「でも、そうしたら会社でも近くにいられる」
耳にキスをされた万佑は、そのくすぐったさに身を捩る。