極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
――秋は、心までセピア色になる。
交際してから7カ月が経ち、未だにプロポーズの返事はできていない。
環との関係に悩み、仕事の合間も小さく息をついてしまうようになった。
「永縞専務って、一流コンサルで働いてただけあるよなぁ」
「本当、男としても憧れるよ」
同僚の男性社員の間でも、彼の評判は上々。
専務取締役として社長の補佐をこなし、経営戦略を構築したりと相変わらず多忙ではあるが、社員との垣根が低く、人当たりも抜群にいい。
「清家さんも、結婚するなら永縞専務みたいな人がいい?」
「……そ、そうですね」
結婚に悩むアラサー女子に、なんという質問をするのかと思いつつ、適当に流した。
環と自分が釣り合っているのか、自分はこのままでいいのかと、答えの出ない毎日だ。
だけど、こんなことを彼に打ち明けるのも違う気がするし、前職の同期の里子にも話せるはずがない。友達はどんどん幸せを掴んでいく中、結婚に憧れていたはずなのに、いざとなったら気後れしてしまうのだった。