極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「先に行って、プロジェクターとか諸々の準備しておきます」
「ありがとう」
新商品のPRを任されることになって1カ月。
営業部や商品部と連携し、社長決裁を得るための最終プレゼンの発表が控えている。
一緒にチームを組んでいる先輩に声をかけ、環のことで話が掘り下げられる前に広報部を出て、ひと足先にミーティングルームに入った。
「あっ、お疲れ様です」
「お疲れ様」
「お待たせしてしまってすみません。これから準備に入りますので」
「気にしないで。ちょっと先に来て、他の仕事をしていただけだから。予定通りの時間に始めてくれれば構わないよ」
誰もいないと思っていたのに、環が長机にノートパソコンを開き、作業をしていた。
今回のプロジェクトは専務主導で動いているので、彼も出席するのは分かっていたものの、ふたりきりになると、なんだか緊張する。
それに、仕事に集中している彼は誰よりも素敵で、心地よく響くタイピング音を聞きながら、つい見入ってしまいそうだ。