極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
――その夜、数カ月ぶりにミミの店に立ち寄った。
異動の辞令が出た頃は仲間内の飲み会が多く、異動後に来た時は店休日に重なっていたので、明かりのついている店を見たら、まるで実家に帰ってきたような落ち着いた気分になる。
「あらぁ! 万佑ちゃん、会いたかったわぁ」
店に入るなり、大柄なミミがカウンターから出てきて抱きついてきた。
「み、ミミちゃん、くるし……」
「あっ、ごめんなさい。嬉しくて」
節のある指を手元に添えて、上品に笑うミミが、万佑をいつものカウンター席に案内した。
「全然顔を出してくれなくなったから、寂しかったわよ」
「異動があったから、すごく忙しくて……」
「もう落ち着いたの? それにしても頑張ってきてよかったわねぇ。前に来てくれた時も、環くんに相談に乗ってもらってたものね」
「うん。おかげさまで毎日忙しいけど、充実してるよ」
ミミが出してくれた中ジョッキの生ビールともつ煮、きのこの和風マリネに舌鼓を打つ。