極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「そういう話じゃなくて、もっと真面目な悩み。あのね、プロポーズされたんだけど、まだ返事ができてなくて」
「早く婚約しなさいよ。彼ほどの男を逃すなんて、余程見る目がないわよ?」
「……うん、分かってる。もう5カ月も先延ばしにしてるのに、変わりなく大切にしてくれてるし、返事も急かしてこないし」
5カ月と聞いて、ミミはつけまつげの派手な瞳を大きく見開いて、驚いた。
「あんた、それはちょっとないわ。環くんだって忙しい人でしょ? それなのに、あんたのことを蔑ろにしないで、仕事と両立して……。泣けてくるわ、まったく」
泣く仕草をしてから、ビールの残りを一気に飲み干したミミは、再びカウンターに入ってサーバーから注ぐ。
(私だって、悪いとは思ってるけど……)
万佑も、環には会わせる顔がないのが本心だ。
多忙でもデートができそうな時間を見つけては、食事だけでも一緒に取ろうとしてくれるし、仕事の相談があれば親身になってくれる。
公私ともに環に支えられていると言っても、過言ではない。