極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「環くん、万佑ちゃんのことお願いね」
「了解。ちゃんと守るから、ご心配なく」
万佑もいい大人だが、環に〝守る〟と言われたら、胸の奥がきゅんとした。
話せば話すほど、彼はいい男だとは思っていた。初対面なのにどういうわけか居心地がよくて、聞き上手で、常に微笑みを絶やさずにいてくれた人とは、なかなか出会えるものではない。
(完璧な男性って、こういう人のことなのかも……)
だとしたら、どうして16連敗もしているのかと、酔った頭で考えながら、ぼんやりと彼を見上げた。
「万佑ちゃんも、環くんが男前だからって流されないようにね?」
「なっ、ミミちゃん、なに言ってんの!?」
「これから口説くところなんだから、邪魔しないでよ。ミミちゃんこそ、気を付けてね。飲みすぎないように」
ミミに言い返す彼を、ぎょっとして見上げる。これから口説くなんて、宣言されたのは生まれてはじめてだ。
だけど、彼は万佑を見ることなく、ミミたちに手を振りはじめた。