極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

(正しい恋って、なんだろう)

 失恋した夜に出会った男と、キス。
 自分を俯瞰して後ろめたさも抱えつつ、環の導きに誘われていく。

(永縞さん……なにを考えてるの?)

 形のいいやわらかそうな唇と目が合った。
 これからその唇と重なる想像を掻き立てられ、ドキドキする胸の奥が熱くなってくる。

 ミミにこれから口説くと言っていたのは本気だったのだろうか。
 少し視線を上げれば、端正な環の表情が目に入り、凛々しくて優しそうな瞳に、不覚にも鼓動が鳴ってしまった。


「帰ろう。万佑ちゃん、飲みすぎ」

 ――え?

 グラスふたつ分ほどの距離が保たれている間、キスをされると思い込んでフル稼働していた万佑の頭の中は、一瞬で真っ白になった。

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