極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「そんな男と結婚を決めなくてよかったんだって思わないと。どうせまた他に女を作りそうなものだし」
失恋の夜から約2週間。年が明け、年末年始休暇も終わり、戻ってきたいつもの日々は平和そのものだ。
社屋に入っているテナントのビストロでランチを取りながら、万佑は同期の里子(さとこ)に失恋したことを打ち明けた。
里子は傷心を慰めてくれたけれど、大地はそもそも自分と結婚するつもりなどなかったのだろうと思うと、付き合っていた意味を問いたくなる。
元からいずれは別れるつもりでいたのなら、もっと早く別れてほしかった。彼だって、次々に女の子を変えて遊んだ方が、楽しかっただろうに。
「はぁ~……」
「新年早々、ため息つかないの。別れて正解だったんだから、次だよ、次!」
次、と言われて思い浮かんだのは、イブの夜に出会った環のことだ。