同期以上、彼氏未満
出張の準備を進めなきゃいけないのに、通常業務が忙しくてなかなかできなかった。


仕方なく、昴から資料を借りて、週末に家でやることにした。


土曜日の夕方、資料を引っ張り出したら、必要なデータがなかった。


「あれ、昴が持ってんのかな」


すぐに昴へ電話して、資料を持ってるか聞くと、


『ちょっと待ってや、えーっと・・・あ、これやな』


あっさりみつかった。


「もう、それがないと準備できないじゃん!


すぐ取りに行くから」


『俺んちに来るんか?』


「当たり前でしょ、うちに来られても困るもん。


もしかして、女の子でも連れこんでた?」


『んなわけあるか、アホ』


「じゃあ、今から行くから」


『コケたりせんように気をつけろや』


「コケないし!」


自宅を出る前に母から、


「これ持っていきなさい」


と、タッパーの入った紙袋を渡された。


「なにこれ?」


「筑前煮。


作りすぎちゃったし、会社の人独り暮らしなんでしょ?


だから、おすそわけ」


「わかった、喜ぶと思うよ」


「じゃあ、行ってらっしゃい」


外に出ると、ひんやりした風が吹いていた。


自転車にまたがり、夕方の街を走り出した。


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