同期以上、彼氏未満
「キャンセル料、高くつくで」


「それもそうか・・・」


「せっかくやから、明日までレンタカー借りて観光しようや」


「え、昴と私で?」


「なんや、不満か?


安心しいや、襲ったりせえへんから」


「そんなこと、想像もしてないし!」


「じゃあ、決まりやな」


行くで、と昴は駅へ向かっていく。


なんか、変なことになっちゃったな。


私もあわてて、昴のあとを追いかけた。


昴の運転する姿を見るのは、いつ以来だろう。


新潟にいる時は、3人で社用車に乗っていろいろ出かけた。


その時は詩織とふたりで後部座席に乗って、


「俺をタクシーの運ちゃんにすんなや!」


昴はよく怒ってたな。


「メグ、暑ないか」


「平気だよ」


昴の横顔を見ながら返事をする。


さすがに、ふたりしかいないのに後部座席に座るわけにもいかず、私は助手席に座っていた。


「とりあえず、目指せ日本海!やな」


レンタカーだから、お気に入りのCDもなく、音のない車内。


「この道よく通ったね」


「変わらんもんやなあ」


「そうだね、懐かしい」


「この辺やったかな」


海沿いの駐車場に停めて、海を見に行った。


「まだそんなに暑くないかも」


「そうやな」


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