同期以上、彼氏未満
ちょうど日陰に防波堤があって、並んで座った。


「誰もいないね」


「静かやな」


「昴、私ね、」


「ストップ!」


「え?」


「わかってるから、それ以上言わんといて」


「わかってるって、なに?」


「どうせ、『私は裕和とつきあってるから』とか、言うんやろ?


そんなんわかってて、告白したんや。


俺は本気で、須川さんからメグを奪うつもりや」


「そんな、奪うって・・・私は物じゃないし」


「せやかて、今はまだメグは須川さんとつきおうとるやろ。


俺がメグとつきあうなら、奪うっていう言葉以外に何て言えばええ?」


言い返せなかった。


つきあってはいるけど、遠距離で。


この場に裕和がいたら修羅場だろうけど、いないことを利用して告白する昴を責めることはできなかった。


それはつまり、昴に告白されて、嬉しかったからだ。


昴といると楽だし、素の自分でいられる。


出会う順番は、まちがっていなかったのに。


つきあう順番を、まちがえてしまっただけ?


「俺は、メグと一緒にいると、めっちゃ楽しいんや。


お互い年齢を重ねても、変わらないと思えるからや。


メグも、俺に対して同じように思ってくれてるんとちがう?」


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