先輩の彼女にしてもらいました
「このやろうっ、蒼井を離せ」

「なんだよっ、このチビ」

身長が低くて細身の時田くんが、こんな大男に敵うわけもなく、一瞬で突き飛ばされてしまう。

「大丈夫?時田くんっ」

屋上の地面に背中から叩きつけられた時田くんは、痛みに顔をゆがめる。

私は慌てて時田くんに駆け寄る。

だけど、時田くんが私をかばうように背中に隠してくれた。

「なんだよ。まさかこのチビが彼氏なのかよ?」

頭に血がのぼっているのか海江田さんは、目を吊り上げて、口の端をひきつらせている。

海江田さんは、しゃがんでいる時田くんの、胸ぐらを掴んで立ち上がらせると平手を振り下ろしてきた。

危ないっ

と思った瞬間、スローモーションのように動きがはっきり見えた。

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