先輩の彼女にしてもらいました
海江田さんの振り下ろした平手を、ガシッと大きな手が掴んだ。

「なにやってんだ、おいっ」

驚いた様な顔の海江田さんが、肩を押されて後ろへ勢いよくひっくり返り尻餅をつく。

全部夢の中の出来事のように、現実じゃないような気さえした。

「俺の彼女と後輩になにやってんだよっ」

倒れた海江田さんに馬乗りになり、殴りかかろうとしているのは、つばさ先輩だった。

だけど、そんなつばさ先輩を後ろから羽交い締めにして止めようとする大谷さんの姿が見える。


「やめろ、バカッ。インターハイでれなくなってもいいのかっ」

大谷さんは、海江田さんからつばさ先輩を引き離し、大声で怒鳴っている。

どうしてつばさ先輩がここにいるの?

全身に冷や汗がにじんできて、息苦しくて頭がガンガンする。いま目の前に見えてるこの最悪な光景は、本当に現実なの?

グラリと体が揺れるのを感じた。

私はそこで意識を失ったようだった。

< 163 / 450 >

この作品をシェア

pagetop