先輩の彼女にしてもらいました
暗闇の中、フワリと体が宙に浮くような不思議な感覚をおぼえた。

「ごめん、なさい」

「大丈夫だよ」

「・・・」

「大丈夫、もう心配いらないから」

「ごめん」

何度も、繰り返し大丈夫って言う優しいその人の声に安心するように身を任せた。



また夢を見ていた。

怖い夢の続き。

仲間だと思っていた、中学陸上部の友人達が黙って私を見ている。その顔には表情がない。

私は絶望しながらも叫ぶ。

「どうして?みんな無視するの?私は走りたいだけなのに。リレーで勝てばまたみんなと仲良く元どおりになれると思ってたのに」

私は、嫌なのに、男子なんてみんな嫌い。モテたいなんて思わない。

「どうして、バトンを渡してくれないの、どうしてわざと落としたりできるの?そんなひどいこと、なんでできるの?」

嗚咽を抑えながら泣いている私。

だけど誰かが、呼んでる声が聞こえる。

手を強く握られて私を明るいほうへ、連れ出してくれようとする。

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