先輩の彼女にしてもらいました
必死な思いですがりつく私を、彼は受け入れてくれていないような気がした。

「いやっ、絶対ヤダッ、先輩はひどいです。こんなに好きなのに、少しも離れたくなんてないのに、どうしてそんなひどいことを言うんですか?」

「蒼井さん」

「先輩」

「心配しないで。別れるとかそういう意味じゃないよ。俺たちはなんにも変わらないから。ただ蒼井さんは、本当はやりたいことがあるんじゃないかって思って。俺に縛られていたら可哀想だから」

先輩のTシャツをギュッと掴んで、すがりついている私の髪に彼は手を伸ばしかけて辞めてしまう。

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