先輩の彼女にしてもらいました
そんな時、先を越された俺は彼女に背中を向けるしかなかった。

それは1度や2度じゃない。

あーあ、これじゃあどっちが彼氏なのかホントにわからないな。

情けないけど、彼女のほうを見ないようにして、俺は部室の方へ、とぼとぼ歩きだした。

その時後ろから岳の怒声が飛んできた。

「時田ー、サボってんじゃねーぞ、早く戻れ」

「は、はいっ」

蒼井さんの、落とした荷物を拾っていた時田は慌てて、岳の言葉に従いコート内に戻ってきた。

「すみません、キャプテン」

「おまえは、あの子にこれからは近寄るな、接近禁止だ、これは命令だぞ、わかったな」

岳は命令だなんて強い言葉で、そしてドスの効いた声で時田に言い聞かせる。

だけど、時田からの返事は意外なものだった。

「あの、それはどういう意味っすか?いくらキャプテンでも、そんなの横暴じゃないですか」

わー、言い返すな、時田。岳に逆らうんじゃない。

俺は慌てて、岳と時田の間に割ってはいった。

「なんだよ、つばさ」
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