先輩の彼女にしてもらいました
その時、小さな手で打つ拍手が聞こえた。誰のものか俺にはわかっている。だけど、そちらを見ることができない。

「手加減してやれよ、つばさ、大人げない奴」

青山兄が、俯いている時田を指差して俺に耳打ちする。

しかし、青山はニヤニヤ可笑しそうに笑っている。

俺がギロッと睨むと慌てて、真顔になる。

「おー、こえっ」

肩をすくめて、笑いをこらえる青山兄。

その時、彼女をそっと見てみると、その隣にはいつのまにか桜が来ていた。

桜は、クスクス笑っているが、蒼井さんは可愛い顔を強張らせて緊張しながらこの馬鹿げた対決を見守っている。

ボールを持つ俺に時田は必死に食らいついてくる。だけど、小手先のテクニックで、難なく奴を抜いてまた、軽々とシュートを打つ。
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