先輩の彼女にしてもらいました



次に時田にボールが渡った時に、俺は両手を広げて時田の前に立ち塞がる。

「俺を抜けるもんなら、抜いてみろよ、時田」

軽く挑発してやると、怒ったように俺を睨む時田の顔はとても幼い。

なんなんだろう、この自分よりも弱いものをイジメてるような嫌な気分は。

だけど、時田は弱いやつではないはずだ。

少なくともこんな中途半端な俺よりもずっと。

けど、手加減なんて一切しないぞ。お前だけには。

時田は、俺を一瞬抜こうとする動作をしたかと思ったら、フェイントで後ろから走ってきた岳にパスをまわす。

俺は岳に向かっていくが、そのスピードに追いつくのがやっとだ。

岳、なんて速いんだよ、って俺が不調だからだろうか。

最近、スランプに陥ったかのようにかすかな違和感がある。
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