先輩の彼女にしてもらいました
思わず笑ってしまった俺は、まんまとシュートを決められてしまった。

「ハハハッ、バーカ、笑わせるなよ、腹痛い」

俺は可笑しくて腹の底から笑っていた。

こんなに笑ったのは本当に久しぶりなような気がする。

この堅物で真面目な岳がバスケをしながら、こんなことを言うことがたまらなくおかしかった。

見ると、青山と岳もニヤニヤ笑っている。桜も腹を押さえて俺を指差して笑っていた。

武田と青山弟も、桜の隣に走ってきていて、俺に笑顔で手を振る。

それが合図のように、バスケ部員全員の緊張感が一気にほぐれるのがわかった。

なんなんだよ、コイツらは。

くっそー、ハメやがったな。

だけど、俺はこの時、コイツらの気持ちを全て察して、こう思ったんだ。

ごめんな、心配かけて、ありがとうって。

素直にそう思ったんだ。

肩の力が、すーっと嘘みたいに抜けていくのを感じる。
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