先輩の彼女にしてもらいました
ゲームセットのホイッスルが鳴る。
コーチ陣が一人もいなくて本当に良かった。こんなことをして遊んでいたら、絶対にどやされるところだ。
全力で走り回っていた時田は汗だくだった。
「時田、悪かったな」
俺はなぜ、時田に謝っているのか自分でもわからない。だけど本当は詫びを入れるよりも礼を言ったほうがよかったのかもしれない。
「いえ、俺の方こそ生意気言ってすみませんでした。先輩、だけど」
「わかってる、ちゃんと話すよ、彼女と」
「は、はい」
「時田、俺は取られたら必ず取り返す、いや、取られないようにする。だから、おまえも俺に、遠慮なんてすんな」
「・・・先輩、俺は」
「?」