先輩の彼女にしてもらいました
桜の瞳に少し憂いがあるように見えてドキリとした。

「せっかく、私が解放してあげたんだから自由にすればいいけどさ、いつまでもそんな煮え切らない態度とらないでよね。せっかく、あんな可愛いくて、いい子を見つけたんだから」

いつものように俺をたしなめるような桜の話し方だったけど、ほんの少し寂しそうだった。

俺はよく桜のこんな顔をみると、どうしたらいいのかと悩んだよな。

「桜、何言ってんの、おまえ」

「つばさのバーカ、さっさと体育倉庫行きなさいよ」

子供みたいに、ベーッと舌をだす桜に、笑うしかない俺は軽薄だったろうか。

だけど、俺にはもう他に大切にしたい人がいるんだから、どうしょうもない。

おまえだって、そうだろ?桜。

俺と岳と桜の関係が、これからは、また新しい形に変わっていこうとしているんだ。

そして、俺には確信があった。近い将来、桜はきっと幸せになるんだろうなって。






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