先輩の彼女にしてもらいました
「おい、つばさ」
「お、おう」
体育館をでていこうとしたら、岳に呼び止められた。
岳はいつものように、眉間にシワをよせた怒り顔だ。
京都に旅行に行った時に、こんな怖い顔の像をどこかの寺で見たことがあるよな、とボンヤリ思う。
「悪い、俺、ちょっと抜けるわ、すぐに戻るから」
「つばさ、おまえは桜に接近禁止だ、これはキャプテン命令だ、わかったな」
無表情で、俺を睨む岳のセリフは、さっき聞いたような気がするんだが。
「ああ、わかったよ」
俺は迷わず返事をした。
「もっと早く言えよ、岳」
「俺はおまえほど、鈍感じゃない。女心もおまえよりは、少しはわかる。だから」
真剣な眼差しの岳は、グッと拳を握る。