先輩の彼女にしてもらいました
先輩も、凄く早い、私が追いつけないなんて。

先輩は、住宅街に入っていきその坂道を軽々と上がっていき少しだけ振り返る。

「蒼井さん、この坂を、上がったら俺んちだから」

「先輩、もうダメ、限界です」

正門を出てから10分以上走って、広い歩道の坂道を100メートルほど上がったところで、体が悲鳴をあげていた。

ほんとに運動不足だ、情けない。

え?先輩いまなんて言ったの?俺んちって、先輩の家?

ゼーゼー

私は腰を折り曲げて膝に手をついて息を整えていた。

「あともうちょいだ、いくぞー」

鞄を持っていないほうの腕をあげて、楽しそうに叫んでいる先輩がオニに見えてきた。

先輩も汗だくだった。

この人、子供みたいだ。

あー、小学3年生ってこれだー。

さっきの、大谷さんの言葉を恨めしげに思い出す。

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