はつ恋の君をさがしてる
「ずいぶんとご機嫌だな?実咲さんとのおしゃべりはそんなに楽しかったのか?」

夕食を終えて片付けをしていた私の背後に立つ高嶺さんが、なんだかちょっと不機嫌そうに聞いてくるので可笑しくて笑ってしまう。

なに笑ってんだ?なんてさらに機嫌が悪くなってきたからあわてて釈明した。

「ごめんなさい。実咲さんとのおしゃべりは本当に楽しかったです♪私あんなにおしゃべりしたのは職場の友達以外では始めてかもしれません。」

「そうか。それは良かったな。」

高嶺さんは笑ってそう言うと不意にてを伸ばして私の頭をくしゃっと撫でた。
それがなんだか気持ちよくて、ついされるがままに撫でられていたら視線を感じて高嶺さんを見上げる。

高嶺さんは、ん?なんて言いながらも変わらず私の髪をかき混ぜるように撫でるのでちょっと困る。

「高嶺さんって、頭撫でるの好きですね?でも、そんなにされると髪がぐちゃぐちゃになっちゃうんですけど?」
ちょっと恨みがましく訴えてみる。
高嶺さんは苦笑いで手を離した……。

何か言ってくれないかなぁ?
しばし見つめあったままで固まった私たちは、視線を外すことができなくて、でも無言だ……。

先に動いたのは私の方。
見上げることに疲れて顎をひいた。
縮めることのできない身長差がダイレクトに私にダメージを与える。
せめて会話するときは座ってほしい。
それを提案しようと思いつつ言い出せなかった。

「なにか手伝うか?」
ため息をつきながら高嶺さんが言う。
私はそのため息の意図がわからなくてちょっと拗ねた。
「大丈夫ですよ!これくらいひとりでできますから!」

それを聞いて高嶺さんが離れていくのを、なんだかさみしいと思う自分にびっくりする。
一緒に暮らし始めてまだ1日しか経ってないのに?
私はなにがしたいんだろう?


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