はつ恋の君をさがしてる
「ったく!ほら退け高嶺!!とにかく鈴加ちゃんの無事を確認するのが先だ!」

高嶺さんのすぐ後ろから聞こえた声の主が高嶺さんを押し退けるようにして私から引き剥がす。

「大丈夫か?このバカが何したかは知らんが、体調は?ケガとかしてない?」

相良先生が気遣うように声をかけながらさりげなく脈をとり顔色を伺う。
その後ろから実咲さん心配そうに覗きこんできた。

「あの……大丈夫です。何ともないです…。寝てただけなんです。」

申し訳なくて、恥ずかしくて……それ以上はなにも言えなくて…困り果てた。
けれど、それを聞いた実咲さんがほっとしたように微笑んでくれる。

「何ともなくはないでしょう?鈴加ちゃんちょっと熱があるよ?ちゃんとベッドで寝てたの?」
探るような相良先生の視線にちょっとたじろぐ。

「えっと……その……」
何て言えばいい?
正直に床で寝てましたって?
何か怒られそうで怖い…。

「燈真さん!鈴加さんを怖がらせないでください!!」
「う……はい。」
実咲さんに叱られて耳を伏せた仔犬みたいになった相良先生に腕を引かれて、気付くと私はリビングのソファーに座っていた。

すぐに目の前に湯気をたてた私のマグカップがトンと軽い音をたてて置かれる。
見ると中身はホットミルクだった。

すっと隣に実咲さん座る。
「それで?何があったんですか?」
優しいけれど有無を言わせない実咲さんの気迫に私だけでなく、テーブルを挟んだ向かい側に座っていた高嶺さんと相良先生までもが緊張している。
私がなにも言えずに俯くと、実咲さんはテーブルの上のマグカップを手渡してくれる。
それにゆっくり口をつけて温かいミルクを喉に流し込む。
冷たくなっていた指先もマグカップの熱で暖められていく。
実咲さんも相良先生もただじっと私が話し出すのを待ってくれていた。

「ごめんなさい。私が悪いんです……些細なことに子供みたいに腹を立てて……実咲さんや相良先生にまで迷惑をおかけしてしまって…すみません。」
そう言って頭を下げる。

「いや!俺が悪い!すまん。その……無神経に笑った俺が悪いんだ。」

高嶺さんはそう言うとソファーから降りて床に座り込み土下座して頭を床に擦り付ける。
突然のことに驚いて茫然とした。

「まったく、何やってんだよ……。」
相良先生が呆れたように高嶺さんを見下ろす。

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