眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「明日はダブルデートだからね!有紗もしっかり今日の服で可愛くしてくるのよ!」
ビシッという音がしそうなくらい、腕を振って言う日菜子の姿が目に入る。
すると、有紗の答える声が聞こえた。
「久しぶりの遠出だからね。綺麗にはして行くよ。どんな生き物が居るのかな。今からすごく楽しみ!」
有紗の返事は、しっかりしつつも日菜子の会話から少しズラしているのが分かる。
有紗の返事を聞いて、ガックリしている日菜子。
しかし、有紗がにっこり笑顔で答えていたので日菜子もそれ以上追求できなかったみたいだ。
その会話を聞いていて、何となく気づいた。
有紗からは、あまりその手の話を聞いたことが無いことに……。
「なぁ、蒼。お前、有紗の好きな人とか付き合ってたとか噂聞いたことあるか?」
蒼はそう言う話を、よく聞いて覚えている。
「有紗ちゃんの?告白されても断わるって話は聞いたことあるけど、そう言えば、誰かと付き合ったとか言う話は聞かないな……」
それを聞いて、俺は何となく察した。
あの、しっかりした有紗が避けて通るものが恋愛であるということ。
普段しっかり受け答えして気遣いを見せる有紗が、日菜子との恋愛話はそこから逸らすような受け答えをしていたから……。