眩しさの中、最初で最後の恋をした。
コンコンと部屋のドアをノックする音がすると、ドアを開けてお姉ちゃんが顔を出した。
「有紗、ご飯よ!」
「お姉ちゃん、おかえりなさい。今日は早かったのね」
姉の和紗は私より六つ歳上で社会人二年目の二十四歳。
栗色に染めた髪にゆるいパーマを当ててフワッとしたミディアムヘアの見た目は可愛い系だ。
身長も私より五センチ低い。
なので、私が綺麗系の格好をして姉妹で出掛けると何故か私が姉に間違えられる。
お姉ちゃんは童顔でもあるので、下手すると私と変わらない年代と間違えられるのだ。
しかし、スーツにキッチリメイクをしてればお姉ちゃんは間違いなく大人である。
「明日、珍しくお友達と遠出なんだって?」
「うん。海沿いの水族館に行くの」
「あぁ、あの水族館!この間宏樹と行ったわ。綺麗だしデートで行くならいい所よ!」
お姉ちゃんはどうやら明日行く予定の水族館には、大学時代からの彼氏と行ったらしい。
宏樹さんは我が家にもすっかり馴染んでいる。
優しく穏やかでカッコイイお兄さんだ。
「友達カップルのデートに付き合わされるだけよ?」
そう呆れ顔で返せば、ニマニマと笑ってお姉ちゃんは言う。
「それでも、相方になるような男の子も一緒でしょ?ダブルデートじゃない!若いって良いわ!」
お姉ちゃん、あなたもまだ若いと思う。
そう、心の中で突っ込んでおいた。